この作品は、イタリアのメディアアートフェスティバル「Sguardi Sonori 2008」からの依頼で制作しました。私は当時モンゴルの田舎街に滞在中で、最終的には3週間以上も続いた停電の真っ只中に居ました。
その期間中、電気は午前中の数時間のみ、大学とインターネット接続が有る郵便局でのみ使用可能でした。もちろんそれは、そこのすべての人々で共有しなければならなかったので、必然的に最低限のプロセスでの制作を考慮しなければなりませんでした。
作品の長さは1分から6分間、ループ再生でインスタレーションとして展示されるという条件だったので、私のその最低限の条件でこの作品を作りました。
このページのセカンドバージョンには、その限られた条件のために、モンゴルでは足せなかったもう一つのレイヤーが追加されています。それは当初からあったアイディアだったので、私自身はこのバージョンをオリジナルと考えています。
ファーストバージョンは、ある秋の日に、紅葉した北アメリカの森を、友人が運転する車の中からデジタルカメラで撮影した、無編集のストレートショットだけでした。
サウンドパートは、道路の標識に吹き付ける風の音を元に構成しました。作品のタイトルは、この笛のような音の現象を「もがり笛」と呼ぶ事からつけました。「もがり」は、無理矢理という意味と同時に、古代日本の葬礼で、死者が埋葬される前に別れを告げる期間の事でもあったようです。
モンゴルでの大停電もまた、強風によって起きたものでした。
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